ある話の中で、「Aさんは歯に衣着せぬ物言いをする人で、聞いていて気持ちがいいんだ」という話があり、
それを言われたAさんは「いやいや、そんなことはないんですけどね」と謙遜していました。

ところで歯に衣着せぬとはどのような意味で使われるのでしょうか。

歯に衣着せぬの由来

歯に衣着せぬという言葉は、「相手に遠慮なく、率直に思ったことを言う」ことの例えとして使われます。

この「歯に衣着せぬ」という言葉は、どのような成り立ちがあったのでしょうか。

物の言い方が攻撃的な場合に、歯を凶器に見立てているのでしょうか。そういえば、「噛み付く」という表現もありますよね。

「衣」とは、衣服・着物のことを指します。つまり、言葉を飾らないでずけずけと物を言うことの例えとなります。

ところで、「衣」は「キヌ」と読み、コロモと読んではいけなく、慣用的に「キヌ」の読みが固定されてしまったようです。

でもなぜ「歯」なのでしょうか。歯に何かが乗っかっているとハッキリと喋ることができません。それででしょうか。

対義語として、「奥歯にものが挟まる」というものもありますし、多分そういう由来があるのでしょう。

歯に衣着せぬの意味

剥き出しの歯で噛みつかれると痛いものです。歯に布などをかぶせると痛さが減りますよね。「キヌ」はシルクの「絹」ではなく、「衣」です。

「歯に衣を着せる」は、「緩衝材をかぶせて噛まれる人(=聞く人)の痛みが少なくなるようにする」と言うことです。

「歯に衣着せぬ」はそれの打ち消しなので、「聞く人の痛みを考えず、ずばりとストレートに言う」という意味になります。

歯に衣着せぬの例文

歯に衣着せぬの例文としては

「Aさんはいつも歯に衣着せぬ言い方で、きつく感じることもあるが、そこが魅力でもある。」
「Aさんの言うことはいつも正しいのだけれど、歯に衣着せぬ言い方なのできつく感じられて受け入れがたい。」
「今日、Aさんは先生に歯に衣着せずに反論したので、先生が怒って職員室に呼び出された。」
「歯に衣着せずに上司を批判するなど言語道断である。」

などです。

まとめ

「歯に衣着せぬ」の使い方や由来などを見てきましたが如何でしたでしょうか。

最初は意味がぼんやりとしかわからなかったこの言葉の意味も使い方もわかったとなれば幸いです。