水仙は園芸用として人気のある多年草であり、原産地のスペインやポルトガル、地中海より広がり品種改良されるなどして世界各国で楽しまれています。
主に雪解けの頃に球根を埋め、冬から春にかけて花を咲かせる品種がメジャーであり、本邦で広く認知されているニホンスイセンは6枚の花弁が互い違いになっている特徴的な一輪を付けます。
球根植物であり、チューリップ同様の時期に育てることが可能なので可憐な花の在り方に加えて、育てやすさも人気の秘密です。
水仙の花言葉
この水仙ですが、メジャーなのは白や黄色の花弁を付ける品種です。
しかし、花の付き方によってはラッパ水仙などの形や花火のように広がった花弁を付ける品種、派手な赤色の花をつける品種まで様々な品種改良が長い歴史の中でされてきました。
歴史の古い植物ですので品種ごと、花の色ごとに花言葉を持っている変わった植物だったりします。
水仙の全体としての花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」「エゴイズム」です。これはNarcissusという学名がギリシャ神話に登場する美少年のナルキッソスに因んだもの、という側面から与えられています。
美少年ナルキッソスはその美貌から数多の異性に言い寄られますが、高慢にそれらの誘いをはねつけ常に恨みと呪いを買っていました。
女神の怒りに触れた彼は天罰を受け、その結果として水面に映った自分自身の姿に恋をしてしまいます。
水面に映った自分に接吻しようとして、頭から湖へと沈んで行ってしまった彼は命を落としました。
水面に映った自分を覗き込むその首を垂れた姿のまま花をつけた水仙になった、とされ彼の名前を捩って学名にしたのです。
ナルシシズムの語源となった男性と関係がある植物だけに、彼が持つ「自己愛」のイメージを直接的に描き出している花言葉であると言えます。
そのような由来があり、派生品種であるニホンスイセンも「自己愛」が花言葉となっています。
しかしながら水仙の色によって花言葉は変わる、と言った通り様々な意味があります。例えば白の花には「神秘」「尊重」、黄色の花には「帰ってきて」「愛に応えて」という言葉が与えられています。
ラッパ水仙には「尊敬」「心遣い」といった、ナルキッソスやナルシシズムには縁遠い、ミステリアスな単語が挙げられています。
ヨーロッパでは特に、この花は希望の象徴とされている側面があり、病気の方へは回復への希望を託してこの花を贈ることは珍しくはないそうです。
神話になぞらえて名付けられたという経緯から「神秘」という印象を抱かせることも納得できるかもしれません。
また「尊敬」の意味合いをもつラッパ水仙は憧れる先輩に贈るのも喜ばれるとともに、いつかはあなたのように、という物言わぬ花にこれから頑張っていく旨のメッセージを託す、というプレゼントの仕方もおしゃれですね。
水仙の毒性
可憐な見た目の植物ですが、意外にも毒性があると言われています。
特に茎に多く毒性が含まれていますが、全草的に有毒成分を含んでいるため、間違っても食べないことが推奨されます。
しかし、花をつけていない葉や茎の状態ではニラの類とかなり格好が似ており、ニラ独特の匂いがない、という差異以外は区別がつきづらいことがあります。間違っても道端のニラと思しき野草はとって食べないようにしましょう。
また球根はタマネギに似ており、花や茎同様に毒性があるためにこちらも間違って食べないように気を付けなくてはなりません。
まとめ
水仙はその名のつけられ方に起因してミステリアスな印象とどこか一癖のある愛情を表現した花、という風に言うことが出来るのかもしれません。
可憐な一輪という印象に対して、背景に不思議な側面があるというのも素敵ですね。